第39章 排斥

実のところ、望月美緒と同様、橘陸と斎藤徹もここ数日はまともな食事にありつけず、ひもじい思いをしていた。

普段から青山希の料理に慣れ親しんだ彼らは、味がいまいちなレストランの料理すら口に合わない。そんな彼らが、橘詩音の作ったものを心から美味しいと感じるはずもなかった。

そして今、青山希が作った朝食がテーブルに並んでいるというのに、二人は橘詩音のためにじっと我慢を続け、誰もそこへ向かおうとはしない。

慣れ親しんだ香りを嗅ぎながら、空腹を耐え忍ぶ。この感覚はなんとも言えず辛いものがあった。

特に斎藤徹は、不満が極限に達していた。

昨日、草薙隼人がただ口にしただけだというのに、今...

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