第6章

 

その直後、まだ体温の残るスーツのジャケットが、震える私の肩にずしりと掛けられた。

神崎竜也が私の目の前で片膝をつき、威圧感に満ちた鋭い視線を向けてくる。彼の声は極めて低く、私たち二人にしか聞こえないほどの音量に抑えられていた。

「星野凛、あの屋敷には大きな裏がある。俺がさっき席を外したのは、九条司のフライト記録を調べるためだ——奴は初めから……」

「星野凛——!」

骨の髄まで凍りつくような悲痛な叫び声が、廊下の静寂を唐突に切り裂き、神崎竜也の言葉は無残に断ち切られた。

九条司が規制線を突破して駆け込んできた。息を弾ませ、隙のなかったオーダーメイドのスーツは無残に皺くちゃになり、...

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