第14章

金属の手術台に横たわる杉山夕晴の睫毛が、びくびくと激しく震えていた。

干上がった意識の海に残っているのは、ただ冷えきった闇だけ。

――これが、自分が幼い頃から愛し続けてきた男。

あの男の目には、自分は残忍で、しかも誰にでも身体を許す女として映っている。

杉山夕晴のひび割れた唇の端から、どろりと黒い血があふれ、青白い顎を伝ってぽたりと落ちた。

「てめえを殺す!」

青い気流が手術室の中で渦を巻く。北風の狼魂が、その身を突き破るようにして解き放たれた。

江崎渚は全身を蒼き巨狼へと変じさせ、空気を裂く烈風をまとったまま、橘陸斗の喉笛へ一気に喰らいつこうと跳びかかる。

その凶暴な一撃を...

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