第16章

杉山夕晴の全身がびくりと震えた。次の瞬間、狼魂の気配がふっと霧散する。

まるで力という力を根こそぎ抜かれたみたいに、彼女は枕へ崩れ落ちた。

江崎渚はようやく息をつき、医療用の綿棒を取ると、彼女の手の甲に残った針痕をそっと押さえた。

「君の狼魂は、もうずたずただ。千野医師が秘薬で命をつないでくれたんだ。まずは体を立て直せ。そうじゃなきゃ、星ちゃんを守ることもできない」

杉山夕晴は天井をじっと見つめたまま、まぶたの奥を熱く滲ませる。喉の奥は詰まり、必死にこらえているのに、涙だけはどうしても止まらなかった。目尻からこぼれ、音もなく枕へ染みていく。

そうだ。

今の自分は、立ち上がる力すら...

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