第17章

しばしの逡巡のあと、橘陸斗はうんざりしたように手を振った。

「橘瑛介」

ずっと扉の外で控えていた衛兵、橘瑛介がすぐさま入室する。

「杉山陽向を呼べ」

橘陸斗は杉山夕晴を一瞥すらせず、冷たく言い放った。

「手配させろ。もう二度と、この気狂い女で雨音の目を汚すな」

「はい、アルファ」

橘瑛介は恭しく頭を垂れた。

杉山夕晴は下唇をきつく噛みしめ、ゆっくりと床から身を起こす。今にも崩れそうな身体を引きずりながら、一歩、また一歩と病室の外へ下がっていった。

目的は果たした。

たとえ、それが自分の血肉と尊厳を差し出した末の結果だとしても。

扉を閉めた、その瞬間。

中から、橘陸斗の...

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