第22章

江崎夕紀は、杉山夕晴の蒼ざめた驚愕の表情を見つめ、口元に苦い笑みを浮かべた。

「運命だろうが何だろうが……あんたが本気でやる気なら、神様だって止められない」

江崎夕紀は立ち上がり、薄い肩に手を置く。力を込めるでもなく、それでも逃げ道を塞ぐような掌。

「スープを飲んで、少し寝なさい」

「身体がもう少し戻ったら、渚に極北まで案内させる」

木下さんが空になった椀を片づけ、江崎夕紀に付き従って客室を出ていった。

暖炉では松の薪がパチパチと爆ぜ、橙色の火が煉瓦壁に揺らめく影を落としている。

重たい足取りで、江崎渚が入ってきた。

手首には分厚い包帯。薬草で抑えたのだろう、狼魂の荒ぶる気配...

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