第24章

「やめて!」

杉山夕晴は橘陸斗を睨み据え、瞳の奥に決死の色を宿した。

「娘の前で私に手を出すっていうなら……触られるくらいなら、死んだほうがましよ!」

橘陸斗は一瞬きょとんとし、すぐに鼻で笑う。

「俺が、お前の死なんか怖がるとでも?」

「だったら死体を抱けばいい!」

夕晴は自分の首筋――狼魂の刻印を爪で抉った。指先から、じわりと赤が滲む。

そこは人狼の本源。砕ければ、即死だ。

橘陸斗の怒りが爆ぜる。反射的に平手が夕晴の頬を打った。ぱん、と乾いた音。

しかし次の瞬間、彼は動きを止めた。

壊してしまいたい衝動が暴れ回る。なのに胸の底、運命の絆が電流みたいな痛みでうねり、暴力を...

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