37、

一発、二発。

「星ちゃんを殺したなんて、よくも言えたわね! うちの娘に狼呪いをかけたなんて、よくも……!」

拳が頬骨を打ち、鈍い音が地下に響く。

杉山雨音は殴られて顔を腫らし、唇の端を切っていた。見るも無惨な有様だ。

痛みに、雨音の目の奥で凶光がちらりと閃く。

だが彼女は、それ以上やり返さなかった。右手をそっとポケットへ滑り込ませ、短縮キーを押す。

通話が繋がった震えが、掌に伝わった。

その瞬間、杉山雨音はぱっと手を離し、さっきまでの悪毒に満ちた眼差しを、一転して涙ぐんだものへ変えた。

「夕晴、やめて……! ごめんなさい、私はただ様子を見に来ただけなの……お願い、殺さないで…...

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