43、

「陸斗、胸が……胸がすごく痛いの……」

杉山雨音は橘陸斗の服をぎゅっと掴み、呼吸を浅く速めた。額にはうっすらと冷や汗が滲んでいる。

田中が悲鳴まじりに声を上げる。

「大変です、お嬢様……! もしかして内側まで傷めてしまったんじゃ……。雨音様はもともとお身体がお弱いんです。昔、暗黒の森で陸斗様をお助けしたせいで、すっかり体を悪くされて……。今日はあの気違いに殴られたうえ、今度は階段から突き落とされたんですよ。このままでは――」

暗黒の森。

その言葉が、橘陸斗の胸を鋭く締めつけた。

視力を失っていた数年間。

彼がいたのは、まさにあの場所だった。

自分を救い、傍で世話をしてくれたの...

ログインして続きを読む