52、

江崎一族の私立病院、最上階のVIP病室。

江崎渚はここで、丸四日四晩つきっきりで母を見守っていた。まぶたを閉じた記憶など、ほとんどない。

四日前――母の江崎夕紀は、杉山夕晴とその娘を救える江崎家の秘薬を盗み出そうとした。

長老会に、その場で見つかった。

「反逆罪」として科されたのは、狼魂の鞭刑。

止めようとした渚は、長老たちに純銀の鎖で床へ縛りつけられた。動けないまま、ただ見せつけられる。母が罰を受ける瞬間を。

狼魂の鞭刑は、狼族にとって最も残酷な刑のひとつだ。

形のない精神の長鞭が、魂の核を叩き裂く。一打ごとに狼魂へ亀裂が走り、肉体の痛みをはるかに超える苦痛が神経を焼く。

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