57、
杉山夕晴はもがくようにして床から起き上がった。動きが焦りすぎたせいで膝が笑い、どん、と重たく地面へ膝をつく。
痛みなど構っていられない。這うように、転がるように鉄扉へ突進し、両手で冷え切った鉄格子をがっちり掴む。希望に濡れた目を見開き、外の気配を必死に追った。
「星ちゃん……ママだよ。ママ、ここにいる……」
ガチャン、と鈍い金属音。太い鍵が揺れ、重たい鉄扉がきい、とゆっくり押し開かれる。
廊下の黄ばんだ壁灯の薄明かりに、杉山夕晴は扉口の人影をはっきり捉えた。
星ちゃんじゃない。
逆光に沈んで不気味に見える杉山雨音の顔。そしてその背後、注射器を持った狼医。
その瞬間、胸いっぱいに...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
12. 第12章
13. 第13章
14. 第14章
15. 第15章
16. 第16章
17. 第17章
18. 第18章
19. 第19章
20. 第20章
21. 第21章
22. 第22章
23. 第23章
24. 第24章
25. 第25章
26. 第26章
27. 第27章
28. 第28章
29. 第29章
30. 第30章
31. 31、
32. 32、
33. 33、
34. 34、
35. 35、
36. 36、
37. 37、
38. 38、
39. 39、
40. 40、
41. 41、
42. 42、
43. 43、
44. 44、
45. 45、
46. 46、
47. 47、
48. 48、
49. 49、
50. 50、
51. 51、
52. 52、
53. 53、
54. 54、
55. 55、
56. 56、
57. 57、
58. 58、
59. 59、
60. 60、
縮小
拡大
