第11章

その一方で、佐藤美咲にはどこか引っかかるものもあった。佐藤恵子が、自分が「代わり」だと分かっていながら、抗おうとする気配すら見せないことが――少し、見下してしまうほどに。

けれど後になって、美咲は思い知る。自分の暮らしがあんなふうになってから、ようやく気づいたのだ。

自分は「代わり」にすらなれていなかった。少なくとも世間は、佐藤恵子のことをちゃんと見ていたのに。

佐藤美咲は両手で頬をこすり、無理やり記憶の沼から引き戻す。

少し横になってから起き上がり、シャワーを浴びる。上がるとベッドに腰を下ろして本を開いた。これまで平常点を引かれている以上、今回の試験で落とせば追試になる可能性が高い。...

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