第12章

別荘の中はしんと静まり返っていた。

佐藤美咲は玄関の外へ出ると、物陰みたいな隅っこを選び、壁に向かって発声を始める。本当なら屋上がいちばんいい。けれど屋上の鍵は阿部誠が持っているし、そこには彼の元妻が残していったブランコまである。高橋詩織ですら屋上で練習するのを怖がるくらいだ。まして自分が上がれるはずもない。

壁に向かって声を出せば、反響が返ってくる。……返ってくる、はずなのに。

そもそも練習なんてろくにしてこなかったから、喉が開かない。

そこへ、高橋詩織が阿部蓮に付き合って一周走って戻ってきて、同じように発声を始めた。

美咲はちらりと詩織を見て、何事もない顔で壁に向き直る。詩織の声...

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