第32章

佐藤美咲はその罰ゲームを聞いた瞬間、ほっと息をついた。ずいぶん気前よくスマートフォンを取り出して言う。

「うちのママ」

山田悠真の目がきらりと光る。

「いいじゃん。かけなよ」

周りのクラスメートは、そろって無表情だった。

――それ、どこが罰ゲームなんだよ。

なんでそんな嬉しそうなんだ。金でも拾ったのか。

佐藤美咲はにこにこしながら佐藤恵子の連絡先を探し、通話をかける。すぐに向こうが出た。けれど相手が名乗るより先に、美咲が弾む声で言ってしまう。

「ママ、だいすき」

言い終えた途端、向こうが少し黙った。

次に聞こえてきたのは、低く落ち着いた男の声。

「ふうん? どれくらい?」...

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