第34章

主演の男優が駆け寄ってきて、「一緒に――」と言いかけた、その瞬間。

山田隼人がバンッと車のドアを閉めた。

佐藤美咲「……」

そんなに恨みでもあるの?

隼人が運転手に出発を指示する。美咲がちらりと横を見ると、隼人は額の前髪をだらだら弄りながら言った。

「なに見てんの?」

美咲は声を落として訊く。

「……あの人、隼人さんが推したい人じゃなかったんですか?」

「推したいっていうか。親戚がねじ込んできて、面倒見ろってさ。仕事は一番いいの回してやる。売れるかどうかは本人の運。売れなきゃ飼い殺し」

佐藤美咲「……」

もし流れが変わっていないなら、あの主演男優も、あの女優も、あとで見事...

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