第35章

山田隼人のマネージャーがノックしに来た頃には、佐藤美咲はとっくに目を覚ましていた。軽く身支度を整えて部屋を出ると、隼人はまだ頭が重そうで、美咲を見て訊く。

「午後の便だろ。今から姉ちゃんのところ行くのか?」

佐藤美咲はこくりと頷いた。

「うん」

「車、出させる。長居するなよ」

「はい」

マネージャーが車を回し、佐藤美咲は高橋詩織の撮影現場へ向かった。

海城は凍えるほど寒い。撮影現場だって当然あったかいはずがなく、案内されて中へ入ると、詩織はカイロを抱えたままスタッフと談笑していた。美咲の姿を見つけた瞬間、目を丸くする。

佐藤美咲はふうっと息を吐き、道中で買い込んだ差し入れを詩織...

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