第56章

彼女はふと動きを止めた。少し意外だった。高橋詩織が、まさか自分のために声明文まで出してくれるなんて。

けれど声明が出てから、罵倒は目に見えて減った。中には謝ってくる人までいる。結果としては、かなり良い。

佐藤美咲は腰を下ろし、スマートフォンを取り出して高橋詩織にLIMEを送った。

佐藤美咲「詩織さん、声明文ありがとうございました」

当然、すぐに返事は来ない。美咲も気にしなかった。助けてもらったのなら、礼は言うべきだ。

昨夜はほとんど眠れず、今日の撮影も万全とは言い難かった。とくに朝のいちばん眠い時間帯はきつかったが、今はだいぶマシだ。

あの山さえ越えれば、なんとかなる。

だから...

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