第67章

「うん」

佐藤美咲はうなずき、そのまま彼のあとについて中へ入った。この時間帯は人もまばらだが、社内はどこも慌ただしく動いているのがわかる。エレベーターに乗り込むと、森田亮が今の会社の状況を手短に説明してくれた。所属タレントには、はっきりとしたランク分けがある――そんな話だ。

森田亮の分析を聞き終え、佐藤美咲はもう一度うなずく。理解した。

今、会社が主力として押し出しているタレントの中に、高橋詩織がいる。高橋詩織は年明けに8年契約を結んだばかりだ。

つまり、まだ2年も経たないうちに“正規扱い”になった、ということ。

そういう事情は、佐藤美咲にとって珍しい話ではなかった。

フロアに着...

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