第92章

佐藤美咲が顔を上げて答えようとした、その瞬間。スマホが鳴った。取り出して画面を見ると、阿部蓮。

一拍置いてから通話に出ると、向こうの低い声がぶっきらぼうに問う。

「どこ」

「中茂広場」

答えながら、美咲は財布の中のカードを探る。すると阿部蓮が続けて言った。

「どの店。買い終わった?」

「もうすぐ。Cブランドの店」

そのタイミングで、レジ係がもう一度、美咲に尋ねてくる。

「会員カードはお持ちですか?」

美咲はようやく口を挟めた。

「ないです」

電話の向こうで、阿部蓮。

「ある」

「え?」

「会員番号、俺の携帯番号」

美咲は一瞬固まり、「あ、うん」と小さく返事をして...

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