第十章 お見合い相手はまさか彼女だった

桐生瞳がゆっくり振り返ると、背後に浅野佳音と藤代司が立っていた。

佳音は仕立てのいい小ぶりなドレスを身につけ、司の腕にぴたりと絡みついている。表情には、隠す気もない優越が貼りついていた。

――なるほど。デート中ってわけ。

桐生瞳は鼻で笑い、あからさまに皮肉った。

「その二人が来られるなら、私が来ちゃいけない理由もないでしょ」

「……っ!」

浅野佳音の顔が一瞬で曇る。だが次の瞬間には、被害者ぶった表情を作り、司の腕をいっそう強く抱いた。

「司さん、見てくださいよ。お姉様って、桐生家から追い出されたのに、まだこんなに偉そうなんです」

佳音はわざとらしく桐生瞳を見上げ、誇示するよう...

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