第12章 彼女のために不服

黒塗りのセダンが一路、疾走してケアセンターへ滑り込んだ。

御堂瞬は第一手術室へ早足で向かう。足を止めた、その瞬間――手術室のランプがすっと消えた。

第一手術室の中で、桐生瞳はマスクを外し、こめかみに浮いた薄い汗を拭う。扉の向こうがざわつき始めたのを耳にしながらも、立ち止まらない。彼女はそのまま反対側の通路へ抜け、気配を消すように立ち去った……。

御堂家の大奥様はほどなく病室へ戻された。

御堂瞬はベッド脇に立ち、長いこと祖母を見つめ続ける。

酸素マスクはつけたまま。それでも呼吸は落ち着き、危険は脱した。張りつめていた顎のラインが、わずかにほどける。

彼は院長へ視線を移し、低い声で問...

ログインして続きを読む