第19章 彼女と物を奪い合う?

店主は桐生瞳の指先にある玉印を、食い入るように見つめた。呼吸まで荒くなる。

その玉質――極めて希少な帝王緑の和田凍料。たったこれほどの小さな一枚でも、市場価格はすでに10億を超える。

普通の人間が持つどころか、目にすることさえ叶わない代物だ。

さらに、さっき桐生瞳が店内の骨董十数点の真贋を、まるで雑談みたいに言い当てたことを思い出す。寸分の狂いもない精度で。

店主は膝がふにゃりと崩れそうになった。

――さっきまで胸にあった疑いなど、跡形もなく霧散した。

慌ててカウンターの外へ出ると、両手を差し出し、桐生瞳から玉印を恐る恐る受け取る。そして印面を何度も何度も撫で、指で確かめた。

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