第42章 彼に薬を盛る

柊蓉子はぱちぱちと瞬きをして、いかにも当然といった顔で言い放った。

「だって、ここイケメンいるじゃん!」

桐生瞳はこめかみを押さえたくなるのを堪え、溜息まじりに返す。

「真面目にやって」

「はいはい、冗談冗談。ここなら人が多くて目も散るから、見つかりにくいの」

柊蓉子はさっきまでのふざけた調子を引っ込め、背筋を伸ばして座り直した。

「本題ね」

桐生瞳の師匠――彼女に医術だけでなく、ありとあらゆる“生きるための技”を叩き込んだ謎の老人は、二年前、突然ぷつりと姿を消した。

瞳は自分の手持ちの巨大な情報網を総動員し、世界中の筋を洗い直した。だが、どこにも足取りがない。

むしろ彼女...

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