第47章 彼女の身分を知る

御堂瞬はすぐには答えなかった。

昨夜の一件に腹が立っていないはずがない。桐生万理華など殺してやりたい――そう思うほどだった。だが、桐生家とは長年にわたってビジネスで付き合ってきた。桐生夫妻がどんな人間か、彼はよく知っている。

桐生明人は筋を通す男で、沢渡令子は人当たりが柔らかい。帝都市の財界でも名の知れた“まともな夫婦”で、家の躾も厳しく、卑劣な手口をよしとしない。

昨夜のことは、桐生万理華が独断で危ない橋を渡った可能性が高い。夫妻とは無関係――そう考えるのが自然だった。

両家とも帝都市では顔の利く家で、取引の糸も複雑に絡んでいる。朝一番から乗り込んで責め立て、騒ぎを大きくしてしまえ...

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