第188章 頬を打たれる

足を止め、私は二人の方へと振り返った。

松田未菜が山本宏樹の手に触れようとしたその時、彼は何かに取り憑かれたかのように、その手を乱暴に振り払った。

松田未菜は信じられないといった表情で彼を見つめ、その名を呼ぼうと口を開く。

だが、目を血走らせた山本宏樹は腕を振り上げ――乾いた音と共に、彼女の横っ面を張り飛ばした。

「黙れ!」

山本宏樹は松田未菜を激しく睨みつける。

「この前、俺にあんなことを言わせたのは、お前の差し金だったのか?」

「木村美玲が近くにいるか聞いた時、お前はいないと答えた。だが本当は、あいつもそこにいたんだろう?」

彼は松田未菜の肩を掴み上げる。指先が白くなるほ...

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