第207章 丸山由紀が逃げた

ついさっきまで松田未菜の悪行に激怒していたかと思えば、次の瞬間にはもうウキウキしながらスマホを構え、撮影アングルを探している。

 石川萌香は、根っからの楽天家だ。

 私には、彼女のような自由奔放さは真似できない。

 けれど、萌香の口元に浮かぶ笑みを見ていると、不思議とこちらの心まで明るくなり、つられてしまうのだ。

「美玲、こっち来て! 写真撮ろうよ」

 萌香が私に向かって手招きをする。

 私は箸を置き、口元を拭った。

「はいはい、今行く」

 萌香に腕を引かれ、隣に並ぶ。彼女は私に次々とふざけたポーズを取らせた。

 その笑顔は眩しいほどで、まるでさっきまでの不快な出来事がすべ...

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