第210章 刻薄

山本宏樹はすぐに駆けつけてきた。一晩会わなかっただけだというのに、彼はひどくやつれ、無精髭も生やし放題で、まるで一睡もしていないかのようだった。

彼が到着した時、私と石川萌香はちょうど朝食を済ませたところで、テーブルの上はまだ片付いていなかった。

山本宏樹はテーブルの上の料理を見て、顔を上げ、私に尋ねた。

「これは全部、お前が作ったのか?」

私は小さく頷いた。彼に嫁いできてからの数年間で、家事など何ひとつしたことのなかった箱入り娘の私は、すっかり所帯じみた主婦へと変わってしまったのだ。

来る日も来る日も、彼のために食事を用意し続けてきたけれど、山本宏樹がそれに手を付けることは一度も...

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