第230章 表に出せない代物

「これは山本宏樹が私のために買った結婚指輪だ」――松田未菜はそう豪語していたけれど、今、そのリングは彼女の左手の薬指に収まっている。

しかも、あつらえたようにサイズがぴったりだ。

そもそも松田未菜が山本宏樹の側にいられるのは、彼女が私に似ているからに他ならない。

白いドレスを纏い、長い髪を下ろしたその姿は、かつての私と酷似している。

結婚指輪のサイズまで、あの頃の私と寸分違わないなんて。

考えてみれば、滑稽な話だ。

山本宏樹は、私の「身代わり」を愛してしまったのだから。

これでは、巷に溢れる安っぽい恋愛小説と変わらないではないか。

高嶺の花が海外へ去り、ヒーローの傍には身代わ...

ログインして続きを読む