第244章 私が愛しているのはやはりあなた

山本宏樹が口を開くたび、ふわりと酒の匂いが漂ってきた。

また、飲んだの?

私はきゅっと唇を噛み締めた。医者からはきつく止められているはずだ。アルコールのような刺激物を口にすれば、彼はたちまち胃を痛めてしまうのだから。

不思議なほど、今の私の心は凪いでいた。

以前なら彼の体を案じていたはずなのに、今はもう、ちっともそんな気になれない。

私はふっと冷笑を漏らした。

「償い? 山本宏樹、あなたが今していることで、かつて私に与えた傷を埋め合わせられるとでも思っているの? 一度つけられた傷はね、永遠に塞がらないこともあるのよ」

彼はしばし沈黙し、言葉を探しているようだった。

「お前の気...

ログインして続きを読む