第312章 抱き合うなど何事か

山本宏樹は腕の中にいる松田未菜を慌ててなだめた。

「もちろん、君を信じているよ」

そう口にしながらも、彼の視線はどこか泳いでおり、私と目を合わせようとはしなかった。

私は鼻で笑い、きびすを返して取調室を後にした。

ドアの外では福田翔陽が待っていた。私が出てくるのを目にするや、足早に駆け寄ってくる。

「美玲、大丈夫だったか?」

私は首を横に振った。

「ええ、大丈夫です。行きましょう」

そう答えた直後、激しいめまいに襲われた。足から力が抜け、そのまま崩れ落ちそうになる。

福田翔陽はとっさに私を抱きとめた。

「美玲、どうした? 具合でも悪いのか?」

私は彼にすがりつくようにそ...

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