第321章 傷がついた

だが、すぐに男はふらつきながらも立ち上がった。山本宏樹のあの一撃は、間違いなく男を逆上させたのだ。

口汚く罵りながら、男はポケットから冷たい光を放つナイフを取り出し、山本宏樹に向かって真っ直ぐに突き出してきた。

私は恐怖に駆られて悲鳴を上げた。心臓が口から飛び出そうだった。

山本宏樹の反応は素早かった。身を翻してそれを躱すと同時に、男の手首に力強い蹴りを見舞った。ナイフが宙を舞い、床に弾かれ落ちる。

男が呆気に取られている隙を突いて、山本宏樹は素早く間合いを詰め、あっという間に男を床に組み伏せた。

「美玲、大丈夫か?」山本宏樹は振り返り、焦燥の色を浮かべて私の無事を確認した。

私...

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