第26章

詩音は視線を外し、家政婦に粥を持ってくるよう静かに促した。

だが、指先が器に触れる直前、横からすっと伸びてきた長い手が、先んじてその椀を奪い取った。

向かいに座る和也は、ごく自然な動作で椀を引き寄せると、匙で粥をすくい、伏し目がちに蓮の口元へ運んだ。

「俺がやる」

低く響く声。

詩音は冷淡に一瞥しただけで、何も言わず、反論する気すら起きなかった。

二人はそのまま無言で連携し、蓮が甘い粥を一杯、大人しく平らげるのを見届けた。

食べ終えた小さな体は、お腹がぽっこりと丸く膨らんでいる。満足げに小さく口をすませると、ふんふんと甘えた声を漏らしながら、再び詩音の胸元へ頭を擦り寄せてきた。...

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