第34章

逆ギレして顔を真っ赤にする男の姿を見て、詩音は彼と駆け引きする忍耐を完全に失った。

自分が『藤原の奥様』だからといって、和也から受ける仕打ちを無条件で耐え忍ばなければならないとでも?

昔のように、彼に逆らわず、いいように扱われるとでも思っているのだろうか。

本当に、笑える。

彼女は表情を硬くし、冷ややかな視線を彼に投げた。

「手を離して」

だが和也は手を離さない。唇を噛み締め、声を押し殺して言った。

「このルースは、琴音に譲れ。あいつが落札したら、離してやる」

オークショニアの声が響き続けている。

「これ以上のご入札がなければ、このインペリアル・ジェードのルースは、こちらの...

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