第35章

その金額を耳にして、その場にいた者たちは一瞬あっけにとられ、すぐさま侮蔑の笑みを浮かべた。

「なんだ、ただの見栄っ張りかよ」

「時間の無駄だな。金もないくせに偉ぶるなよ。そんなはした金、乞食に恵むのにも足りないぜ!」

棘のある言葉が、次々と琴音の耳に突き刺さる。

彼女は血の気を失った顔で立ち尽くし、その体は今にも崩れ落ちそうだった。

だが和也は、一向に姿を現さない。

目元を赤く染め、二階のVIPルームを恨みがましく睨みつけると、スタッフの手からクレジットカードをひったくり、身を翻して駆け出した。

和也はその一部始終をはっきりと見ていた。心臓が大きく跳ねる。

それでも、彼は動か...

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