第38章

詩音が別荘を出て行ってからというもの、和也はまた深夜に帰宅する生活に戻っていた。

蓮の小さな世界の中で、父親の姿はすでに輪郭がぼやけ、消えかかっている。

ここ数日、和也のスマートフォンには息子からの着信が絶え間なく入っていた。

何度かは琴音が出ることになり、彼女はそのたびに優しい声で子どもを宥めた。

だが、これが根本的な解決にならないことなど、彼女自身が一番よく分かっている。

「和也……」

夜、彼女は和也の手を引き、その瞳にありったけの不安を浮かべた。

「今、別荘には蓮くんが一人きりでしょう。どうしても心配で。だから……私が一緒に住んで、お世話をしてあげちゃ駄目かな?」

この...

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