第42章

琴音の頬にくっきりと浮かんだ五本の指の跡を見て、和也は指の腹でそっとその頬に触れた。

「痛っ」

琴音は痛みに眉をひそめ、涙ぐんだ声で漏らした。

「痛い……」

和也の心は一瞬にして冷たく沈み込んだ。

彼は勢いよく振り返ると、詩音の腕を乱暴に掴んで自分の前へ引き寄せ、声を荒らげた。

「琴音に謝れ!」

「嫌よ」

詩音は冷ややかな顔で、その手を力いっぱい振り払った。

「彼女が先に、私に殴られたなんて嘘をつくから手を上げたのよ。どうして私が謝らなきゃいけないの?」

和也は全く信じようとしない。

「琴音みたいに優しい子が、お前を陥れるわけがないだろう? 詩音、見え透いた嘘をつくのは...

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