第15章 違和感

浴室からの水音が、ぴたりと止んだ。

シェリーはドアに耳を貼りつけ、息さえ殺す。

「ヴェラ。あの子、どうも普通じゃねえ」

「何が普通じゃないの?」ヴェラは酒でも注いでいるのか、氷の触れ合う音がした。「血の匂いがわかるって? 児童養護施設なんて、いろんなのが出入りする場所でしょ。多少ませてたって不思議じゃないわ。いちいち騒がないで」

「……違う、そこじゃねえ」サイラスが声を潜める。「東区のあの児童養護施設、部下に洗わせた。ありふれた収容所だ。ギャングですら寄りつかねえ通りにある」

「それが何だって言うの?」

「そこだよ」サイラスの声が、焦りで少し擦れる。「もしあの子がずっと底辺で生き...

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