第34章 発砲

リアムの血走った狂気じみた目を見た瞬間、シェリーは横っ面をひっぱたいてやりたい衝動に駆られた。

「わたし、まだ六歳なんだけど。撃ったあとで裁判官にどう説明しろっていうの? 暴発でした、って?」

だが、その深い藍色のベルベットのふくらんだドレスが、ここへ来て思わぬ役に立った。

シェリーは裾をそっと広げる。小さな天幕みたいに、二人の手元をすっぽり隠す。

――あんたがやって。

視線だけでそう促すと、リアムは鼻で嗤った。手首をひるがえし、裏地のポケットから超小型拳銃をすっと抜き取る。

その瞬間、シェリーは悟った。

この狂人、今思いつきで銃を使おうとしたわけじゃない。

とっくに安全装置...

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