第10章

「学ぶ? 骨の髄まで染みついたものは、学んでどうにかなるものじゃないわ」

大奥様は湯呑みをことりと置き、鋭い視線で彼女を射抜いた。

「夏菜、その浅ましい企みは捨てなさい。一ノ瀬家の門は、土下座したくらいでくぐれるものじゃありません。本当に賢いのなら、潮時を見極めることね。一ノ瀬家からの手切れ金を受け取って、さっさと消えなさい」

夏菜の顔から、さっと血の気が引いた。

「お、おばあ様、誤解です。私は本当にただ……」

「もういい。私の前で芝居はよしなさい。伊達に長く生きているわけじゃないのよ。どんな人間かくらい、見れば分かるわ」

大奥様は立ち上がり、使用人に付き添われながら二階へと向か...

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