第19章

建二と芳子は彼の一言に言葉を詰まらせ、顔を真っ赤にしたまま反論すらできなかった。

深は意織を抱きかかえ、一度も振り返ることなく白川本邸を後にした。

……

意織が目を覚ますと、視界に飛び込んできたのは一ノ瀬本邸の重厚なクリスタルシャンデリアだった。

頭がふらつく感覚はまだ抜けきらず、喉は乾いた砂を詰め込まれたようにいがらっぽい。

指先を動かすと、滑らかなシルクのシーツに触れた。

「目が覚めたか」

意織が顔を向けると、ソファに座る深の姿があった。襟元を少し開けたその姿は、会社にいる時よりはいくぶん隙があるように見えるが、それでもあの威圧的なオーラは影のようにまとわりついている。

...

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