第23章

深く煙草を吸い込み、ゆっくりと紫煙を吐き出す。その声は少し掠れていた。

「それは俺のセリフだ。意織、お前は昔、そんなふうじゃなかった」

「昔の私が、好きだったの?」

意織は自嘲気味に笑う。

「物分かりがよくて、従順で、文句一つ言わずに尽くしてきた。その結果が何? あなたが『高嶺の花』を連れ回して私の前で見せびらかしたこと? 私が病気のときに家に閉じ込めたこと? 深、人は変わるものよ。犬に噛まれれば誰だって警戒するようになる。ましてや、私はあなたに三年間も傷つけられ続けてきたんだから」

深は暗く沈んだ瞳で彼女を見据えた。

「俺が夏菜に抱いているのは、あくまで責任だ。あいつの父親は、...

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