第40章 世に類を見ない天才

マスクを外し、テーブルに無造作に置いた。

藤原青樹は背筋がすっと伸びた姿で、端正な顔立ちをしていた。その角張った輪郭が頭上の照明に照らされ、どこか柔らかに見えた。

「いい子、久しぶりだな、ますます格好良くなったじゃないか!」

坂田和也は彼の腕を軽く叩き、得意げな笑みを浮かべた。

「そういえば、昔はいつも私から逃げ回ってたけど、今回はそうじゃないよな?」

「この老いぼれが最後に舞台に立つんだ。私の唯一の弟子として、ちょっとは面目を施してくれよ!」

藤原青樹の眉間にかすかな皺が寄り、目に複雑な色が宿った。

「いいですよ。ただし条件があります」

坂田和也は藤原青樹の気質をよく知って...

ログインして続きを読む