第43章 公演

この熱い気持ちが消えてしまうのを恐れるように、南山六也は本能的に一歩前に踏み出し、いつもの穏やかな顔に焦りの色が浮かんだ。

「ちょっと待って!」

「連絡先を交換しませんか?これからも連絡を取り合えるように」

夏目嵐は人差し指を軽く曲げて誘うように動かした。

南山六也はすぐに自分のスマホを彼女に手渡した。

電話番号を入力し終えると、彼女はスマホを返しながら、指先がかすかに彼の手のひらに触れた。

南山六也の喉仏がわずかに動き、内なる高鳴りを抑えた。

「この後、一緒に食事でもどうですか?」

夏目嵐はわざと尋ねた。「彼女が怒らないの?」

「食事くらいで、そんな理不尽な怒り方はしない...

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