第57章 明確な対比

絵里の手がぴたりと止まった。彼女は美しい杏色の瞳を上げ、その瞳には悪戯っぽい笑みが浮かんでいる。

珍しく青樹が、これほど饒舌になるなんて。しかも、そのすべてが自分を庇う言葉だ。

絵里は驚きの中にも、思わず笑みがこぼれそうになる。

「あなたは、嫁姑問題の仲裁でもしてくださるの?」

古来より、嫁と姑の関係は、夫婦間における最難関の課題の一つだ。

しかし絵里は、幼い頃から年長者を敬い、礼儀を弁え、細やかな気配りができる女性だった。

青樹は、短く「ああ」と返した。

絵里は箸で正体不明の料理をつつきながら言う。

「ご安心ください。上手くやりますから、あなたを板挟みにはさせません」

ま...

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