第10章

彼の顔色はみるみる悪くなり、視線が泳ぐ。掴まれていた手の力も、無意識に少し緩んだ。

「花……俺、そういう意味じゃ――ただ……」

「じゃあ、どういう意味?」

私は一歩、また一歩と詰める。堪えていた涙がついに頬を伝い、熱を残して落ちた。

「お義母さまが私の鼻先を指して罵って、殴ろうとしたとき――あなた、一度でも理由を聞いた? あなたが気にしたのはお金だけ、家がまだ自分名義かどうか、それだけじゃない!」

私の言葉に、彼は言い返せなくなる。顔が青白く揺れた。

平岡麗子がすかさず口を挟もうとする。

「ちょっと、あんた……話をすり替え――」

「もういい、母さん!」

陸原紀川が振り向きざ...

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