第17章

白原花視点

翌朝。

陽射しがちょうどいい。

朝のトレーニングを終えたばかりの私に、佐藤が黙ってスマホを差し出した。

画面には数枚の写真。高級ホテルの調印会場らしい。

陸原紀川が真新しいスーツに身を包み、見知らぬ男と握手している。顔は上気し、得意と狂喜がじわりと滲むどころか、画面越しに溢れ出していた。

「遠航グループの意向書にサインしました」

佐藤の声はいつも通り、波がない。

「佐々木様のほうも、指示通り『新エネルギー市場へ本格参入』を大々的に発表しています。陸原紀川は初期投資を集めるため、手持ちの端株をかなり安値で投げ始めました」

虚構の繁栄に頭を焼かれた男を見つめ、私は口...

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