第37章

私の言葉が落ちた瞬間、川崎武俊の顔色は、陰りを通り越して完全に鉄青になった。

彼は勢いよく立ち上がり、椅子が床をがりっ、と乱暴に削って耳障りな音を立てる。

陸原園子のほうは、見ようともしない。

その目から、最後に残っていた迷いも葛藤も――すべて消えた。残ったのは、弄ばれた怒りと、吐き気がするほどの嫌悪だけ。

「……いい。いいだろ」

歯の隙間から絞り出す声は、誰かに向けたというより、自分に言い聞かせるみたいだった。

たぶん、ようやく腑に落ちたのだ。

彼が浮かれて迎え入れようとしていた『清純な婚約者』は、嘘を吐き、他人の財産にまで手を伸ばす――薄汚れた女だった、と。

この婚約は、...

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