第39章

祖父――。

その言葉が頭の中でぐるぐると渦を巻き、胸の奥で波を立てた。

私と藤原聡の間にあるのは、暗黙の取引だ。

彼は私に庇護と資金を与え、私は彼の「盾」となる婚約者を演じる。関係は明快で、余計な感情など混ぜない――そういう約束だったはず。

それなのに「家族に会う」。まして藤原家の頂点にいる人物と対面するなんて、取引の範囲を明らかに超えている。

これは宣告に近い。

私を正式に自分の勢力圏へ組み込む、儀式みたいなものだ。

私は横目で彼を見る。

ハンドルを握る男は前だけを見つめ、街灯の明滅が冷たい顎のラインをいっそう際立たせる。

視線に気づいたのか、彼は顔を向けないまま淡々と言...

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