第46章

彼はひどく痩せて、ひどくやつれていた。

かつては体に吸い付くように仕立てられていたハイブランドのスーツは影もなく、今は皺だらけのジャケット。顎には青い無精髭が伸び、全身から、暮らしに何度も殴られ続けた人間特有の惨めさと疲弊が滲み出ている。

落ち窪んだ眼窩。血走った目が、私を食い入るように見つめてくる。そこに渦巻いているのは、懐かしさと後悔と、そして諦めきれない執着――そんな、私には読み切れない複雑な色だった。

「花……」

掠れた声が漏れる。本人が気づいていない卑屈さと、乞うような響きを混ぜて。

「ずっと待ってた。……この間さ、毎晩お前のこと思い出してたんだ。昔の、俺たちの――」

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