第50章

彼女は口では私を手伝うと言っていた。けれど、その目には面白がる色と打算が、今にもあふれそうなほど滲んでいた。

母娘の見事な変わり身を、私は黙って目に焼きつける。唇の端だけをかすかに持ち上げ、二人の話に乗るように頷いた。

「では、お手数をおかけします」

伏せた睫毛の奥で、冷えた嘲りを隠す。

向こうから転がり込んできた好機を、あの母娘が見逃すはずがない。

けれど、あの人たちは知らない。

その好機そのものが、私の手で差し出した餌だということを。

いったん針に食いついた魚に、もう逃げ場はない。

いつ糸を引くか――それを決めるのは、私だ。

部屋へ戻ると、スマホの画面がふっと灯った。藤...

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